臨海副都心で水素、ペロブスカイト太陽電池を活用へ

東京都港湾局は、「臨海副都心カーボンニュートラル戦略」に基づき、臨海副都心における先駆的な脱炭素化技術の研究開発に取り組んでいる。同戦略の一環として、地域熱供給における水素混焼ボイラーの稼働を開始した。7月18日に発表した。

 同取り組みは、地域の冷暖房・給湯用の熱供給プラントに、都市ガスと水素を燃料とする水素混焼ボイラーおよび水素吸蔵合金タンクを導入し、安全・安定した運用を実現するための技術を研究する。港湾局、産業技術総合研究所(産総研)、清水建設、東京臨海熱供給(東京都江東区)、東京テレポートセンター(東京都江東区)、ヒラカワ(大阪市)との共同研究になる。

 水素混焼ボイラーは、ヒラカワ製「HydroMix Series(JSN-2000HM)」を導入した。混焼比率は都市ガス50%・水素50%(容積比、最大)で、都市ガス専燃ボイラーと比較して最大約21%のCO2排出量を削減できる。また、NOx排出量も業界トップレベルの実測値40ppm(O2=0%換算)に抑制した。換算蒸気量は2000kg/h。

 水素吸蔵合金タンクは、産総研と清水建設が開発したもので最大350Nm3までの水素を貯蔵できる。東京都と山梨県が2022年4月に締結した「グリーン水素の活用促進に関する基本合意書」も基づき、山梨県米倉山で製造したグリーン水素を調達する。週1回程度300Nm3を供給する。各設備は、東京臨海熱供給の青海南プラントに設置する。

 また、港湾局とNTTアノードエナジー、NTTアドバンステクノロジは、既存インフラである共同溝を活用した無付臭の水素配管新技術の研究開発を行う。従来のガス配管では臭気で漏れを検知するが、水素は無臭のため圧力センサーや水素センサー、光ファイバーなどを用いた検知技術を採用した水素配管を敷設し、安全性などを評価する。

 水素配管の敷設場所は、産総研から日本科学未来館までの総延長約600m。配管を通じて供給した水素を使い、科学未来館の燃料電池で発電する予定。水素を無付臭で供給することで、水素を脱臭措置不要で燃料電池へ直接利用できるようになる。期間は2025年度〜2027年度。研究開発後は、既存インフラを活用した水素配管輸送の事業化に向けた大臣特認取得を目指す。

 このほか、港湾局と東芝エネルギーシステムズ、YKK AP、関電工、東京テレポートセンターは、8月5日からテレコムセンタービルにおいてペロブスカイト太陽電池セルを活用した建材一体型太陽光発電(BIPV)内窓の実装検証を開始する。約110cm×約30cm、約90cm×約30cmのモジュール計10枚を設置し、既存ビルでの実装を見据え内窓設置における発電性能や熱線反射ガラス越しでの実用性などを検証する。検証期間は2025年8月5日〜2026年1月20日の予定。

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