ドイツ・DHLの日本における現地子会社であるDHLサプライチェーン(東京都品川区)は8月8日、日本国内で水素を燃料とした燃料電池トラック(FCトラック)を使用した実証走行を実施すると発表した。
同実証は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション(GI)基金事業「スマートモビリティ社会の構築」の一貫として実施するプロジェクトに、DHLサプライチェーンが参画する形で実施する。GI基金事業全体は、トヨタ自動車、いすゞ自動車、日野自動車、スズキ、ダイハツ工業が参画し設立されたコマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(Commercial Japan Partnership Technology=CJPT、東京都文京区)が主体となっている。
実証走行の第1弾として、富士通の複数オペレーション間における輸送に燃料電池トラック1台を導入する。富士通は、2040年までにスコープ3(バリューチェーンによる間接排出)の温室効果ガス排出ゼロを目指している。
燃料電池トラックは、高圧タンクに貯蔵された水素と大気中の酸素を用いて燃料電池で発電した電力でモーターを駆動する仕組み。1回の充填で走れる航続距離は約260km。いすゞのトラック車両「エルフ」に、トヨタの燃料電池車(FCV)システムを搭載した。
DHLサプライチェーンは、DHLグループの日本法人のなかで国内流通における在庫管理・配送事業を担当する。今年中の更なる燃料電池トラックの導入を予定しており、他の顧客ニーズに対応する形で実証範囲を拡大していく。
DHLグループは、新エネルギーを成長分野のひとつに位置付け、風力、太陽光、電気自動車(EV)とバッテリー、バッテリーと蓄電システム、EV充電、電力網、代替燃料、水素の8つのセグメントについて、エンドツーエンドの物流サービスの構築を進めている。2030年までに航空、海上、陸上運送の30%に持続可能な燃料を使用することを目指している。